平田篤胤らの思想を通じて、散歩していても、日本の神や神社に興味を持つようになりました。

 暑からず、寒からずで、直射日光の下の散歩が、心地よい時期です。
 この日、散歩の途中で、入手した本は、

永田生慈 『葛飾北斎の本懐』(角川選書・本年3月刊)

です。
 ところで、余談ですが、春からは、豆類の好きな私にとって、グリンピース、空豆、枝豆・・、と食卓が楽しい時期でもあります。特に、子どもの頃から、グリンピースの天ぷらが大好きなんです。

 さて、TBS-TVの〈プレバト〉というバラエティー番組(木曜日7時)の、夏井いつき(1957ー)さんが俳句を添削するコーナーで、《黄泉の国》と使った人がいました。

 普通なら、気にしないところですが、最近、・・別に、神道主義者ではありませんが・・国学の思想を読んでいるので、私自身の反応は違いました。今日は、そのようなテーマです。

 ・・という訳で、このところ続いている読書は、荻生徂徠、新井白石、本居宣長、と続いて、
平田篤胤(ひらた あつたね 1776ー1843)です。


子安宣邦 『平田篤胤の世界』(ぺりかん社)


 著者、子安宣邦(こやすのぶくに 1933ー)は、『宣長学講義』(岩波書店)を読んだばかりです。本書の前半は、その復習となります。

 平田篤胤は、本居宣長(1730ー1801)に1803年(享和3年)28歳の時に接して以来、その事実上の門人とも言ってよいので、両者の思想を、随所で比較することになります。

 平田篤胤は、本居宣長の「記紀」(古事記、日本書紀)解釈だけと違って、民衆が心配する〈死後の救い〉が、前面にでます。そこのところが、民衆に受けた所以ですが、国学識者からの批判、無視もあります。

 〈救い〉、ですから、救う〈神〉も、特徴があります。

 しかも、「記紀」からの解釈だけでは無くて、儒教的道徳論のスタンスや耶蘇教からの影響もある、神道神学的色彩の思想です。
 国学の大展開か、一般民衆化か、スキャンダルか、と意見が分かれましたが、新たな展開であることは否めません。

 例えば・・、
本居宣長は、救済を拒絶し、死んだら、伊邪那美命が赴く〈黄泉の国〉、そこは、邪悪な汚れた世界、に行きます。
新井白石は、魂は天に、肉体は土に行きます。(「鬼神論」)
平田篤胤は、霊は、地上に留まり、祖先を見守ります。(「新鬼神論」)
他にも、荻生徂徠の鬼神論(「弁明」)や
伊藤仁斎の鬼神論(「語孟字義」)などもあります。

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仙台で買った《伝統こけし》と、耽読した、本居宣長の国学と歌論の、子安宣邦『宣長学講義』のまとめです



 まずは、仙台と秋保(あきゆ)温泉で買った伝統こけしのお話です。
 もともと、〈伝統こけし〉収集は、妻の趣味ですが、脇から見ていて、私も〈参加〉しだしたものです。

 写真は、今回、仙台、秋保温泉で入手した「伝統こけし」、9本です。少し、工人をご紹介しますと・・・、

ご年輩、ご逝去された方は、
左から3本目、佐藤忠(1932ー 青根温泉系)
同5本目、渡辺鉄男(1937ー 土湯系)、
同6本目、佐藤賀宏(1936ー2015 鳴子系・秋保温泉育ち)

新しいところでは、
左1本目、佐藤武直(1975ー 遠刈田系・秋保温泉系)
左4本目、高田稔雄(1973ー 弥治郎系)

珍しいところでは、大井沢湯殿山神社宮司さんの
左から8、9本目、志田菊宏(1959ー)

などです(敬称略)。

 次は、このところ耽読していた書物のお話しです。
 この文章は、縦書きしたいものです。


子安宣邦(こやすのぶくに 1933ー)『宣長学講義』(岩波書店)


 本居宣長(本居舜庵)の、古道学としての国学、に関する理論の、分かりやすい書物です。
 おそらく、この位の知識を概観しておかないと、小林秀雄『本居宣長』など、理解できないでしょう。

 逆に、この書物を読んで、「万葉集」、賀茂真淵、荻生徂徠、平田篤胤がつながって、それらを読んでいく意欲が出ました。
 さらには、能、文楽などの鑑賞にも有益な知識となります。

 また、日本の「」のこと、その字は、漢字(当然ですが、中国から伝わったものです)の《神》を当てて表現されていますが、それによって想う《神》では無い《かみ》(迦微と書かれた記録もあります。)・・持って回った説明ですが、中国からの漢字は、当然、中国の思想が底流にある字ですが、そうでは無い、日本のカミ、のことで、このことは、後程、多少補足説明します・・、
 または、現代の神道教義とは異なる《かみ(神)》、にも興味が強くなりました。
 そのような意味から、「神社」にも、ある種の強い興味をそそられることになりました。

 本居宣長は、漢意の儒教や仏教が伝わる前の、純粋な、古(いにしえ)の意(こころ)と言(ことば)を持って、天地の始めからを理解しようとします。

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仙台から帰って参りました ~秋保温泉で、のんびり4日間を過ごし、〈こけし〉もたくさん買いました。



 東京地方は、異例の〈真夏日〉だったようですが、この期間中、私は、仙台の〈奥座敷〉と言われる、秋保(あきゆ)温泉で、のんびり過ごしていました。
 外出時は、全国的な風雨の影響も無く、晴天ばかりの運の良さでした。

 宿は、「ホテルクレセント」。温泉地には珍しく、夕食のレストランは、ドレスコードがあって、浴衣では行けません。それほど大きなホテルでは無いので、外国人の団体なども見かけません。
 食事も、温泉も、良い宿でした。気にいったので、定期的に行こうと思っています。

 滞在二日目は、歩いて約30分ほどの「秋保 工芸の里」【写真は、9軒の工芸店の全景です】にこけしを買いに出かけました。
 さらに、翌日は、ホテルのバスで仙台に出て、以前にも訪れた〈しまぬき本店〉で、こけしを買い、続いて〈カメイ美術館〉に行って、こけし展示を見て、売店にあった中古こけしを買いました。ここでも、以前、古いこけしを買ったことがあります。

 ランチは、〈伊達本店〉で、牛タンを食べました。仙台に来たら、ここ、と決めています。その後、文学館に行きたかったのですが、疲れたので、ここまで。歳、には勝てません。
 
 今回は、6本のこけし・・・だったかな・・、をゲットしました(まだ、包みを解いていません。)ので、後ほど、写真をアップします。
 
 読書は、子安宣邦(こやすのぶくに 1933ー)『宣長学講義』(岩波書店)。
 本居宣長(本居舜庵)の、〈歌の学び〉から〈古への道の学び〉を概観して、実に、有益です。最初に、本書を読んで正解でした。
 この本のご紹介も、いずれします。★

読書で、江戸時代の武士の閉息感を感じつつ、一方、文楽、TDS、夏休みの予定を決めて、一挙、予約完了しました。

 孫の入学式は、晴天。学習院初等科。新入学した孫の教室は、かつて、その母が学んだ教室だそうです。

 承前・・。
 前回述べましたが、家に籠もって、まずは、新井白石(1657ー1725 幼名・新井伝蔵、別名・新井勘階由)についての伝記小説を2冊、読み進んでいます。
 ちなみに、白石の俳句の号は、〈桐陰(とういん)〉です。

 一冊は・・、
 角川書店のPR誌「本の旅人」、昨年(2016年)12月号から連載が始まった、
 佐藤雅美 『火の鬼』

 もう一冊は・・、
 藤沢周平 『市塵(しじん)』(講談社)

 前者、「火の鬼」の題名は、白石が、〈明暦の大火〉(1657・3・2) の直後に生まれたことから〈火の児〉と言われたとか、眉間に火の字を思わせる皺(しわ)があったからとも、あるいは、性格が〈火〉のように激しいことからのようです。

 両書とも、当然ながら、「折たく柴の木」を多く参照しています。

 ただ、前者は、まだ、始まったばかりからでしょうか、きっちりした白石の経歴の表記で、そこのところ、一度では、すっと、頭に入らない詳しさがあります。毎月の連載ですから、繰り返し読むのに、ちょうど良いのかもしれません。
 後者は、鶴姫の死から始まり、要所、要所に経歴を入れこんでいます。冒頭から、人物が生き生きと動き回ります。 

 さて、同時に、平行して、手を出して、読んでいる書物が、

子安宣邦(こやすのぶくに 1933ー)『宣長学講義』(岩波書店)

原信田実(はらしだみのる 1947ー2007) 『謎解き広重「江戸百」』(集英社新書)

です。
 ・・というように、読書に夢中で、ブログ・アップに間が空いてしまいました。

 しかし、このところ類書を読んで感じるのは、江戸時代の武士の閉息・抑圧感。

 身分制度(原則、で職は決まっており、また、跡継ぎ以外は公職につけず、跡継ぎであっても父が隠居しなければどうしょうもない。後は、朝早くから職を求めての〈逢対(あいたい)〉など)、

政治制度(200年経ても幕府の編成は軍団のまま。それに、譜代、旗本は、そのまま。)で、
おまけに、子どもは死亡率も高く(白石の姉弟4人も、3歳、3歳、19歳、18歳と、皆死んでいます。)まさに、生きるのが大変な時代です。
 職なく、貧しい武士は、学問しか道がなかったのかも。

 むしろ、同じく大変な世とは言え、庶民は、人形浄瑠璃、歌舞伎などを生み出したのは大したものです。

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新年度の読書は、荻生徂徠、新井白石、そして本居宣長など、江戸の学統の伝記小説からスタートです。まずは、佐藤雅美『知の巨人ー荻生徂徠伝ー』から。

 定期購読している書店のPR誌に、角川書店の「本の旅人」があります。
 その、昨年(2016年)12月号から、佐藤雅美「火の鬼」が連載されています。
 その時は、ちょっと面倒くさそうで、読まずにスルーしていたのですが、作者・佐藤雅美(さとう まさよし1941ー)の名が頭に残っていて、

佐藤雅美『知の巨人ー荻生徂徠伝ー』(角川書店)


を、先日から読み出したのです。
 すこぶる面白い。それに、読みやすい。

 このところ、しばらく、江戸の下級武士の物語ばかりを耽読していましたが、今度は、ほぼ同じ時代を、えらく広いスケールで見られる小説に邂逅しました。


 古学(古文辞学派)の、荻生徂徠の一生の伝記です。
 漢文を、従頭直下(しょうとうちょっか)、つまり、頭から下まで、返り点や捨て仮名に頼らずに、まっすぐに読む、しかも、和訓ではなくて、訳文の学が特徴です。


 分かりやすく言いますと・・、
「過則勿憚改」は、
「過テバ則チ改ムルニ憚ルコト勿【なか】レ」では無くて、
「しくじったらやりなおしにえんりょするな」
と訳します。

 
 将軍・綱吉から家継の時代を俯瞰し、伊藤仁斎(古学・堀河学派)、新井白石(朱子学・京学)らとの、気持ちのわだかまりが、実に、読みやすく描かれています。
 それに、各学派の説明や、漢文調の格言っぽい名文が頻出して、タメにもなります。

 ・・老年の表現も、
「心のままに老いをやしない」とか、
「顔色老いたり、然(しこう)して予多病善く臥す」とか、
「行けば則ち鴻雁(こうがん)の歩【ひしくい、かり、のようなよたよた歩き】、遠きに致すあたわず。」
・・などボキャブラリーが増えますよ。 


  で、先ほどの、「火の鬼」。こちらは、徂徠と仲のあまり良くなかった新井白石の伝記小説です。
 徂徠と白石は、裏腹のネタで書かれるのでしょうね。
 あわてて、書架から、直近の4月号まで、5冊を揃えました。

 白石の物語は、藤沢周平の「市塵(しじん)」(講談社文庫)もあります。これも読もうと思っています。

 その次は、国学の本居宣長。江戸の思想家と、少しぐらいは、その人の著書を時間をかけてカジってみようと思っているのが、近時の読書計画です。これでまた、運動不足になりそうです。★

春、四月。孫たちは、新入、進学です。孫たちの影響で、手を付けた趣味もあります。歳とっての新しい経験は、幾つもの付帯収穫も得られ、価値があるものです。



 写真は、写真館での孫たち。新学期からは、姉は、学習院初等科3年生、弟は、同新入生の1年生。
 弟の体格が良いので、双子とも思われるときもあります。

 ところで、孫たちがいたおかげで、私が興味を持ったのが、《百人一首》と《将棋》。

 《百人一首》は、昨年の、5月頃から、就寝前など、折りにふれて読み、覚える努力をして1年経ました。
 カルタの実戦は、まだ、ですが、歌自体は、我が寿命までに何とか、と思っていたのが、1年で、一応、モノになりました。

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陽気に誘われて、「すみだ北斎美術館」に行きました。その後の、アサヒビール本社のレストランは絶景でした。

 〈BS日テレ〉「ぶらぶら美術・博物館」(毎金曜日20時から)で、「すみだ北斎美術館」の入場券が当選して、頂いたので、暖かい陽気に誘われて、妻と出かけました。
 残念ながら、期待した桜は、少し早かった・・・のですが。

 企画展は、ピーター・モースと楢崎宗重の北斎コレクションの特別展示です。この蒐集内容には、感嘆させられました。

 この美術館は、昨年、11月にオープンして、評判は、さまざまにネットに記されていますので、改めては書きません。
 私が、穿っているかもしれませんが、感じたのは、きっと、区立の美術館は、数年たつと、入場者が、随分と閑散とするのではないか、そうすれば、その時こそ、この設計が生きて来る、と想定しているのではないか・・、と思わず考えてしまった、ような設計です。

 それに、絵が傷むので、「常設展示」はレプリカだそうですが、いくら精工でも、これは、どうかと思います。
 それなら、家で、美術集『浮世絵聚花』を見ていたほうが良いかも、とも言えるのですが。

 しかし、まあ、北斎と三女・栄(号は、応為)の人物模型は、実に良く出来ています。
 たまに、筆を持った手がわずかに動くのですが、近くで見ていたご婦人2人・・、
「あっ、今、動いたよ !?」
「何言ってんの。あんたが、うごいたんでしょ。」

 それに、デジタル機器類は、最先端の技術のようで、「北斎漫画」など、一見に値します。いっそ、この技術を、ネットで公開してはどうか、と思います。

 機会があれば、応為の展覧会をしてほしいものです。


 さて、鑑賞のあとは、墨田区巡回バス〈すみまるくん〉で、吾妻橋の近くに出て、アサヒビール本社、22階の、同社直営店〈ラ・ラナリータ〉で、ランチ・コースを食べました。
 角、2面ガラスの窓際席で、スカイツリーや隅田川を行く船を望みながら、ワインを飲みながらの、2時間のフルコースは、絶品でした。★

花粉症を避けて、「地図」で〈江戸市中〉を遊んでいます。

 なぜか、高齢者のファンが多いようですが、私も、今週から再開された、火野正平『こころ旅』(BS-NHK)を、毎朝夕観るようになりました。饒舌では無い、静かな画面が気に入っています。

 さて、花粉症に神経質になって・・本音では、読みたい本があると、あえて表に出たくない、という、運動嫌いなタチなんですが・・近くの、中央図書館で、江戸の市街図を借りてきました。
 ついでに、江戸だけで無くて、同時代の、西日本の各藩内の詳細地図も、借りました。

 このところ、続けさまに、青山文平などの時代小説を読んでいて、一度、しっかり、江戸市中の地図、江戸時代の藩の地図を知っておきたくなったからです。

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一ノ関圭『茶箱広重』を見つけました。青山文平作品も連続、5冊目を読了です。きょうは、私のブログ入力雑談もお伝えします。



 ピコン、と何度も、スキーに行っている孫たちの動画や写真が、スマホの LINE に送られてきます。
 
 ところで、このところ、断続的に花粉症が出ているので、不要な外出は控えて、読書三昧です。
 しかし、後述のような、文庫判の漫画などを見るときには、さすがに、老眼のメガネを使うようになりました。

 いままで、裸眼で十分だったのですが、やはり、あと数か月で、古希です。
 そう言えば、昨晩、テレビで観た、小田和正や私の好きな吉田拓郎も、同年齢なんですね。言うことに共感出来ます。

 眼鏡だけではなくて、薄暗いのが苦手になって来たので、ブログの、入力専用電子文具「ポメラ」【写真】も、バックライト付きに買い換えようかとも思っていますが、10年以上使っているので、愛着があるんですねえ。

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文楽五月公演『加賀見山旧錦絵』を詳しく〈予習〉します。 【アクセス数 14万記念記事】

 東京・国立劇場、文楽・五月公演は、

加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』。

 本公演も、どうせなら、江戸時代の如く、弥生狂言として、さらに、文楽・歌舞伎競演にすれば、もっと評判になったと思います。

 私の予習は、まずは、NHKーDVD『加賀見旧錦絵』(2016刊)、長局の段、奥庭の段を観て、尾上の遺骸を見て、お初のクドキに涙ぐみました。
 映像内容は、昭和50年代の道頓堀・朝日座の舞台ですが、これが良い。
 太夫は、四代目竹本越路太夫(三味線・竹澤弥七)
 人形は、初代玉男、二代目勘十郎、若かりし簑助、玉女で、圧巻でした。皆、きりりとしています。
 DVD付録映像のインタビューで、越路太夫は、出だしの「テモおそろしい たくみごと・・」からは、素人が考え及ばぬ、脂汗の出る難曲と述べています。

 さて本題の予習に入ります。
『加賀見(鏡山)旧錦絵』。大昔から、上方と江戸で名題を代えたり、作者や建(たて)役者が集まっての《世界定め》では、アイデアを盛ったり、作者が、見せ場を《ないまぜ》したり、見せ場を2つを合わせてサービスしたり・・いろいろ考えたのでしょう。
 その上方と江戸では、省略する場も異なります(例えば、上方では「竹刀打ち」が無い。)。

 それやこれやで、結果として、だんだんこの狂言が面白くなっていったのでしょう。
 が、反面では、いろいろ混ざって、どこがどう混ざっているのか、どこが、どういう背景を持ってきたのか、我々は、からくりを理解するのに苦労します。しかし、そのからくりが分からなくたって、芝居は、十分楽しめます。でも、まあ、からくりを解き解すともっと楽しめるのは否めません。
 ・・と、いうスタンスで、この予習をしてみました。
 約7000字になります。ゆっくり、お読みください。
 このブログも、おかげさまで、14万のアクセス数となりました。改めてご愛読を心から感謝申し上げ、お礼をかねて、本記事を書かせていただきました。

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知識を総合しての読書の悦び。やはり、いろいろ頷ける青山文平作品『かけおちる』と『半席』。篠綾子『紫草の縁』にも感動しました。

 まずは、このブログのアクセス数が、14万を超えました。ご愛読を心から感謝申しあげます。
 最初のブログ、既に書き終えた、「入門介護講座ー特別養護老人ホームの選び方」も、ニーズがあるのか、15万6千と、伸びています。これは、右のリンク(PC版表示)からご覧になれます。

 さて、今日は、3冊の本をご紹介しますが、時代が近いせいか、同じ江戸の地名などが出てきます。
 それに、後述しますが、読んでいて、刀の知識や百人一首に、すぐピンと来るなど、これまでの、いろいろな知識を総合して楽しめました。

 まずは、このところ連続して読んでいる、青山文平作品。こう一度に読むと、飽きて来ないかな・・、と心配しつつ読んだのですが、杞憂でした。
 それに、68歳で直木賞を受賞され、しかも、経済関係の出版社に勤務されていただけあって、歳と経験に裏づけされた文脈は、身につまされるところが多々あります。

 今度も、感じるいくつかの文章がありました。

 例えば、
 「人間、生きていると、いろいろな〈いろは〉を学んで行くが、抜けたままの〈いろは〉が多々ある。」とか、
 「実(じつ)、はなにもない。使う者が実をつくる。」
 「真実はない、事実がある。」
 「出世するたびに虎の尾を踏んでいた。」
 「どうせ、やらねばならぬのなら、自分からやろうとしたほうが、疲れは少ない。」 
・・とか。
 改めて、噛みしめました。


青山文平『かけおちる』(文芸春秋社)

青山文平 『半席』(新潮社)


 前者の、題名は、いわゆる《駆け落ち》、のことですが、主人公が、妻、娘など、係わった3つの駆け落ちを背景に、行き詰まる徳川制度、武士制度、人間関係のわだかまり、そのなかでの主人公の心の抗いが描かれます。

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歌舞伎『伊賀越道中双六』 ~雀右衛門(お谷)の嘆き、吉右衛門(政右衛門)・歌六(幸兵衛)「岡崎」圧巻の幕切れ。



 昨夜は、吉右衛門と阿川佐和子の対談集、『吉右衛門のパレット』(新潮社)を読んでいました。

 さて、3月8日正午から、国立劇場・歌舞伎公演

通し狂言 伊賀越道中双六』(5幕7場)

を鑑賞しました。
 写真は、命をけずるがごとき《莨切(たばこぎり)》。

 天明3年(1783年)4月、竹本座初演の、近松半二(1725ー1783)の人形浄瑠璃が原作です。

 今回の《通し》は、全10段中の、7段目「岡崎」がクライマックスの通しで、平成26年公演で、第22回読売演劇大賞・最優秀作品賞を受賞した作品の再演です。

 歌舞伎役者が、この賞を受賞した例はありましたが、歌舞伎作品として受賞したのは、初めてでした。
 歌舞伎が、浄瑠璃の本質に迫り、普遍的な人間テーマとして、現代に通じる演劇作品として評価されたのです。

 赤子殺しの故か、めったに観られない「岡崎」の公演で、一般的な6段目「沼津平作内」・「千本松原」はありません。私も、前回、鑑賞した2013年はやはり逆でした。
 因みに、上演は、原作の、2、3、7、8、10段目といったところでしょうか。

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一ノ関圭『鼻紙写楽』。素晴らしくて、滅法面白くて、すっかり作品世界に没入してしまいました。



 本当に、面白いし、役に立ちました。
 素晴らしい、作品(漫画)です。
 私の歌舞伎・文楽好きのニーズに、細かい知識を、絵と会話の中にまとめて、しかも、水準がものすごく高いのに感動してしまいました。
 特に、江戸っ子の会話の臨場感は、小説以上に感じました。


一ノ関圭 『鼻紙写楽』(小学館・1,800円)


 第20回手塚治虫文化賞と第45回日本漫画家協会賞をW受賞している評判の「漫画」です。
 昨年から、版元も品切れで、ずっと探していたのですが、「2016年6月刊 第3版」を手に入れました。

 造本が、分厚くて、紙質が良い。そして、内容は、江戸の息遣い、雰囲気が、緻密に、しっかり描かれ、かつ、蝦夷・松前のことまで触れられているほどスケールが広い。

 舞台となっている、江戸の芝居小屋、芝居絵の種類や版元のシステム、それらの江戸と上方の異同、さらには、奉行所のシステム、はては、本所・深川・向島の水事情まで、しっかり知識がつきます。したがって、読み進めるのに、若干時間を要します。

 最初のほうで、団十郎の姉妹が、初日の楽屋に〈ぼた餅〉を配る描写で、さっそく引き込まれてしまいます。
 〈ぼた餅〉は、〈牡丹餅〉と書き、団十郎の副紋(替紋、控え紋とも)が〈杏葉牡丹(ぎょようぼたん)〉から、というところです。

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静嘉堂文庫美術館(二子玉川)で、初心者に分かる日本刀の展覧会を鑑賞しました。帰りに、一ノ瀬圭『鼻紙写楽』を発見!して、うきうきとした一日でした。



 まずは、余談を。果物の《梨(なし)》を、《ありのみ》と、半世紀ぐらい前に、祖母から聞いた記憶があります。

 梨という言葉は、ものが無い意味の「無し」に通じて縁起が悪いので、《有りの実》と言ったそうです。
 このことを、遅まきながら、
篠綾子『おしどりの契り』
「代筆屋おいち」シリーズ、最終巻(第4巻)で知りました。

 この小説では、「なし」、「あり」から、「ありやなしや」と進み、
名にし負はば いざことはむ都鳥 わが思う人はありやなしやと」、
の在原業平の和歌に進んで、この小説のテーマである、別れ別れの人を思うテーマに行くわけです。
 因みに、「あり」は、在原業平の「あり」も含んでいます。戸田茂睡や北村季吟も登場し、この作家の非凡さが伺われます。

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『加山又造展』を楽しみました。が、本当の目当ては、「野田岩」の鰻でした。



 書斎で、DVDを観て、ひとり、涙を流していました。
 まずは、文楽のお話です。

 多分、1976年(昭和51年)、そうでなければ1981年(昭和56年)の、道頓堀・朝日座、
加賀見山旧錦絵』(長局の段、奥庭の段)、
の録画を観て、尾上の遺骸を見てからのお初のクドキに涙ぐんでいたわけです。(2016年発売のNHK/DVD)。
 太夫は、四代目竹本越路太夫(1914ー2002)、三味線・竹澤弥七ですが、60歳前後の初代・玉男(1919ー2006)が、実にイイ男。若い、簑助もきりりとしています。やはり、人間国宝になる人は、若いうちから、違い、ますね。

 5月公演鑑賞のための、『加賀見山旧錦絵』の予習の成果は、後日、アップします。もう、8冊ほど読んだのですよ。

 さて、水曜日は、天気が穏やかだったので、妻と、「日本橋タカシマヤ」に、
加山又造展』、
を観に行きました。

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読書三昧。青山文平『励み場』は、ページを繰る感動にあふれています。ですから、ここでは、筋は書きません。もう一つ、5月の文楽公演「鏡山」の予習に時間をかけています。

 あまりにも、『つまをめとらば』(文藝春秋社)に感動したので、同じ作者の、昨年9月に出版された、

青山文平 『励み場』(角川春樹事務所)

を読みました。
 これにも、前作以上に感動しました。

 1頁目、おっ、随分、今風の姉妹の会話で始まった、と思ったら、その後、中盤まで、《重い》なあ、と思ったら、今度は、一体どうなるの、とハラハラ。すごいハラハラ感なんです。ミステリーでは無いのに。そして、最後は、すこぶる後味よい感動。素晴らしい。

 《励み場》とは、励めば報われる仕事場。《名子(なご)》である、主人公・笹森信郎(のぶお)が、「己の持てる力のすべてを注ぎこむのに足りる場処」のこと。
 《名子》とは、戦国の世が終わったときに、大名や領地を捨ててその家臣とならずに、武家を捨てて領地を取って百姓になった(元武士の)主家に仕える家来です。


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二期会公演・オペラ『トスカ』 ~迫力ある演奏、華麗な舞台、美しく歌いあげた木下美穂子。感動しました。が、劇の《不条理》は、あまり感じられませんでした。



 15日(水)、18時半から、上野・東京文化会館で、二期会公演、


オペラ『トスカ』(3幕)
(ジャコモ・プッチーニ(1858ー1924)作曲)


を鑑賞しました。ローマ歌劇場との提携公演です。
 席は、S席・中央最前列。満員の盛況。
 
 開幕冒頭から、オーケストラが、力強く鳴ります。指揮者の「うー」とか、《気合い》もすごく、演奏に迫力あって、突出して良かった。
 そう言えば、指揮者がピットに入って来たときから、オーケストラメンバーが、拍手に代わる足踏みで迎えて、両者の信頼関係がよく出来ているのが伺え、好感が持てました。
指揮・ダニエーレ・ルスティオーニ
兎に角、若く、元気一杯なのです。

息があっていたのは、
東京都交響楽団。
 それに、二期会合唱団、NHK東京児童合唱団も熱演しました。

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これで文楽・歌舞伎がもっと面白くなります。目から鱗の、文楽、歌舞伎の優れた手引き書『歌舞伎の音楽・音』



 写真は、永田町、「国立劇場」の梅。まだ、寒いですね。
 このところ、秋から冬に行われる国立劇場の歌舞伎は、毎月、すべて観ています。きちんと戯曲を味わうなら、通し中心の、こちらです。

 はじめに余談です。1月6日のブログに書いた、朝井まかて 『残り者』を読むについて、大奥に関する《参考書》となるのが、
松本清張 『大奥婦女記』(講談社文庫)、
でした。妻の書棚から借り出し、あまり面白いので読みふけってしまいました。
 徳川将軍、1~7、11、12代の大奥が記述されています。

 さて、本題。実に、素晴らしい内容でした。まさに、座右の一冊になりそうです。

配川美加 『歌舞伎の音楽・音』(音楽之友社)
4,500円です。

 同書は、もともと、「入門書」として書かれたのが、頁数が多くなって、書名から「入門」の文字を取ったとのことですから、決して難解でありません。
 しかし、内容は、目から鱗(うろこ)の事ばっかり。

 冒頭、歌舞伎の歴史が、要領よくまとめられています。ここは、まさに、これくらいで良いのです。

 それから歌舞伎音楽を、歌舞伎囃子歌舞伎浄瑠璃に分けて、さらに、前者は、陰囃子出囃子に、後者は、竹本(義太夫節)常磐津・清元節(豊後系浄瑠璃)に分けての記述です。

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重厚な三味線、華麗な簑助。際だった、俊寛の孤独感・悲劇を鮮明に描いた、国立劇場文楽公演『平家女護島』に感動しました。




 風が強く、すこぶる寒い日。それでも、ラッシュの余韻の残る地下鉄は《冷房》で、《強く感じる方は、弱冷房車へ》だって。

 7日(火)11時から、国立劇場文楽公演、

近松門左衛門『平家女護島(へいけにょごのしま)』
(1719年初演)

を鑑賞しました。
 着物の御婦人が随分と多いですが、やはり、着物って暖かいのでしょうか。

 今日の席は、舞台も、床も、両方とも良く見られる、文楽では、ベストの8列25番です。私が好きなのは、この7、8列の、座って左側が通路の25番です。
 
 ちなみに、この2月公演は、近松《3本立て》の、バーゲンセールです。
 筋が単純で分かりやすいとは言え、「曾根崎心中」は、昭和の改悪台本。まっ、でも、お初の勘十郎を見たいところでした。
 「冥土の飛脚」〈淡路町〉の、呂勢太夫を聴いてもみたかったところもあるのですが、今回は、第一部の、論争が多く予習しがいのある、かつ、簑助も登場する、「平家女護島」にしました。

 昭和5年に復活して以来、二ノ切りでは、「平家物語」や「能・俊寛」とは違った、近松独自の悲劇性の解釈を舞台化するのに、彦六系・文楽系などの演出や〈海士(あま)訛(なま)り〉の強調(海士の女の土俗的な深情けか、普遍的な女の心情か、の表現)を巡っての方法論などの〈対立〉があります。今回は、平成7年以来の公演です。

 本舞台は、良くできた論文のように、序論、本論、結末の、すっきりした筋立てです。
 それもあって、俊寛の悲劇が際だちますが、天皇対武士、裏返せば、近松の執筆意図も十分感じ取れます。

 印象に残ったのは、錦糸→清介→藤蔵ら、の力強い三味線。もっとも、藤蔵は、力んでいるのか、両隣への遠慮なくソワソワ、ゴソゴソ・・。

 やはり、見所は、〈鬼界が島〉の段。
 冒頭から、島流しの惨めさが、すこぶる感じられます。近松の名文がさえ、沈痛な、緊張感が漂います。
 ・・またです。こんな時、単に人形の登場だけで拍手しないでほしいな。おまけに、その拍手たるや中途半端な拍手・・そんならしなけりゃいいのに。

 熱演、豊竹英太夫(三味線・鶴澤清介)
 
 それぞれの人形が良い。
俊寛僧都・吉田和生
丹波少将成経・吉田勘弥
平判官康頼(やすより)・吉田玉志

そこに、
瀬尾太郎兼康・吉田玉也
の熱演で、選択の余地ない、俊寛の生きる方途を鮮明に示して、感動です。
「餓鬼道、修羅道、地獄道・・」の言葉の重さ。

で、千鳥・吉田簑助、登場。じっくり魅せられました。
やはり、《華》がある。近時、引退多い中で、簑助もいなくなったらどうするのかしらん。

その後は、復活の「敷名(しきな)の浦」、
 熱演、豊竹咲甫太夫(三味線・鶴澤藤蔵)。
 太夫5人、三味線5人、で、ちょっと三味線に負け気味の太夫も。余談ながら、オペラなどでもいるんですねえ、オーケストラに負ける人って。

 2時終了。3部制の第1部終了の時は、臨時バスが出ないんですね。何とかしてほしい。
 アナウンスは、「次の回がありますから、迅速に席を空けてください。」だと。

 来週は、オペラ「トスカ」に参ります。歌姫フローリア・トスカを演じる、ニューヨークを拠点に活躍中の木下美穂子が楽しみです。★

しみじみした、深い、大人の味わいの、青山文平『つまをめとらば』を耽読しました。

 やや春の気配が。 
 しかし、桜も、齢を重ねると、咲くのが遅れる、と後に述べる本に書いてありました。

 今日は、10時から、国立劇場3月歌舞伎公演《岡崎》の、あぜくら会先行チケット発売日。
 七息思案。スマホとパソコンの二刀流で挑み、スマホで15分以上かかってゲット(画面が「次に」進まないのです。)。
 返す刀で、観劇後、恒例にしている、第一ホテルのバイキングも、ホテル会員割引席をゲットしました。これは、2分ほどで完了しました。

 ところで、今年、既に読んだ7冊の中では、今のところ、一番、共感した書物かもしれません。

青山文平 『つまをめとらば』(文藝春秋)

 ・・歳を重ねるにつれて、分かったことが増えた。分かっていたことが、分からなくなったりもする。・・・
 6掌編のうち、最後の、「つまをめとらば」の最後に出てくる一節です。
 
 物語は、隠居している56歳の貞次郎が、初めての結婚に踏み切る決心に悩んでいます。
 一方、10年ぶりに会った幼なじみの省吾は、3度の結婚で、ほとほと女には懲りています・・という設定で、僅か50頁に、人生が凝縮されていて、感動しました。

 よく読んでいる、朝井まかてや藤原周平、もちろん葉室麟とは、全く違う時代物の味わい。
 先ほどのような、ちょっとした記述の多さにも魅了されます。例えば・・、

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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 芸術団体を「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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